制服レモネード

「っていうか、アズ大丈夫なの?体調とか……その、色々」

「あ、うん。今はファッションショーに集中しているし前よりは平気。これが終わったらちゃんと矢吹さんと話そうと思うし」

あれから結衣と濱谷くんの口から矢吹さんのことを聞くことも無くて。

もちろん私から話すこともしなかったから。でも、心配そうに私の顔をみる二人を見て、今はそれだけですごく嬉しかった。

「そっか。ちゃんと話せるといいね。なんかあったらいつでも吐き出してな」

「じゃ、俺たち客席にいるから」

二人はそう言って客席へと向かった。

「そろそろ梓葉ちゃん出番だから最終確認お願い!」

鈴木先輩の声が聞こえて、慌てて舞台付近へと向かう。
龍ヶ崎くんは反対側の舞台袖から出てきて、舞台の真ん中で一緒になってそれから前方のランウェイを歩く。

一番初めの衣装は色とりどりのリボンが散りばめられているふわっと丸みを帯びたドレス。

はじめてこの衣装を見た時は、私にこんな可愛いもの似合わないと思っていたっけ。

でも、服飾部のメイク担当の生徒さんにメイクを施してもらってからというもの、びっくりするぐらい顔の雰囲気が衣装と合うようになって、そこから自信が少しだけついたんだ。

「3、2、1で合図するからね」

ストップウォッチを持った鈴木先輩のその声に頷く。
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