制服レモネード
ランウェイを歩いて舞台へと戻ってくる他の学校のモデルさんが帰ってくるのが見えると、

「はい、3、2、────、1」

鈴木先輩の言う通り、舞台へと歩き出した。

舞台袖にいる時は遠くの方で聞こえていたアップテンポの曲が、舞台裏に響くほど大音量に自分の耳に伝わる。

習ったように、練習でやったように。

そんな風に自分に言い聞かせながら反対側からやってくる龍ヶ崎くんに目を向ける。

白のスーツに、私の衣装のリボン柄と同じ柄のネクタイをしている。

いつもの不良な感じとは違って、髪型もメイクも、ふんわりとした衣装の雰囲気によく合うセットにされている。

余裕そうにこちらをみた龍ヶ崎くんはクイッと口角を片方あげて笑うと、目線を客席へと向けて合図をしてくれた。

同じタイミングで身体全体を客席の方へ向けてから二人揃ってランウェイを歩き出す。

会場のライトが本当に豪華で、見渡す景色もお客さんでいっぱい。

改めて、すごい舞台に立たせてもらっているんだと実感する。

「梓葉」

ランウェイの先まで来た時、龍ヶ崎くんに名前を呼ばれる。

名前を呼ぶなんて、リハーサルのときしなかったのに。

そんなことを思っていると、突然、龍ヶ崎くんが私の手をギュッと握った。

「えっ……」

思わぬ状況に戸惑っていたら、会場から「キャー!」という黄色い歓声が飛びかう。

すごい……龍ヶ崎くん。
その場の空気を完全に私たちの方に持っていった。
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