制服レモネード
「いつも家のこと手伝ってもらって、パパとママは平日いつも仕事で。休みの日は休みの日で寝てばっかのダメ親だから、梓葉にいつ愛想つかされるか、なんて内心ビクビクしてることもあって……」

「ママ……そんな。ママたちは家のために働いてるんだから、休みの日に休むのは当然でしょ……」

寂しいと思わなかったわけじゃない。
でも、パパとママが2人なりによく頑張っていることを知っているから。

「うん。ありがとう。ほんと、梓葉が娘で幸せものよね。そんな不安もあったから、梓葉がママたちに好きな人を紹介してくれるって、すごい嬉しいわよ」

「ママ……うん、私も紹介できて嬉しい」

すごく緊張するけれど、ママやパパのこと、矢吹さんを認めてくれるって、信じてみよう。





そして、とうとうやってきた。

午後7時。

ピンポーン

そんなチャイムの音が聞こえると、ソファーに座っていたパパの肩がビクンとした。

パパの緊張がすごく伝わってくる。

「私が出るね」

キッチンで夕飯の準備をしていたママにそういって、早足で玄関へと向かう。

ガチャ

「梓葉。こんばんは。今日はありがとうね」

玄関を開けると、スーツ姿の矢吹さんが爽やかな笑顔を向けて立っていた。

「ううん。こちらこそ、来てくれてありがとうございます」

うちの玄関に矢吹さんがいて、すぐ家の中では両親が待っている。

そんな状況に、緊張しっぱなし。
< 179 / 227 >

この作品をシェア

pagetop