制服レモネード
いや、これは恋なんかじゃ……。
恋っていうのはもっと甘酸っぱいものなんだ。
そう、それこそ、矢吹さんちで飲んだレモネードみたいな。
きっとそうだ。
「そもそも、初恋だってまだのアズにこれが恋かどうか今すぐ決めろって言う方が酷だよな〜。でも、はじめての感情でしょ?」
ニヤッと笑った結衣に、降参したと言わんばかりにゆっくり頷く。
「ほほーん。素直になるアズ、可愛いすぎて私が嫁にもらいたい」
「もー、ふざけないでよ」
「はいはいごめんごめん。それで?告白したら、矢吹さんなんて」
「ちょ、告白じゃないって。知りたいって言っただけで……」
自分でも、あんな大胆発言、よく出来たなと感心する。
やっぱり、あのレモネードに少しお酒が入ってたんじゃないかって思うくらい。
「それ告白だよ。もっと知りたいって、抱いてくれって言ってるようなもんだよ」
「い、言ってないからそんなことっ!」
平然と破廉恥なことをいう結衣に慌てて訂正する。
「『俺のこと知ろうとする時間あったら学校の勉強した方がいいかもね』……って」
「ひゃあ、JKブランドぶら下げてもダメか……」
明らかに子供扱いしかされない。
私が何を言ったって、彼の心には届かないんだろう。