制服レモネード
「梓葉だけじゃない。君にだって、将来があるだろう。矢吹くん、君、いくつだ」
「今年27になります」
「10歳差だぞ。梓葉が卒業してたらまだしも……」
ため息混じりにそう言ったパパと、何も言えず黙っているママ。
やっぱり、年齢の差による周りの反応は大きい。
でも、そんなもの……。
「……おかしい」
小さくそう呟く。
「おかしいよ、年が離れているからって理由で。そりゃ、中には、不純な動機でそういう関係の人だっていると思う。けど、矢吹さんと私は違う」
お互い、大切すぎるあまり不器用になって、そりゃ、うまくいったことばかりじゃないけれど。
「世の中には、15歳、20歳差で一緒になる夫婦だってたくさんいる。時間が経てば、みんな成人した大人じゃん」
「梓葉の言い分もすごいわかるけど、大人が子供を守りたいって気持ちからって気持ちからなのも、わかってほしいな」
ママは優しく、そう言う。
「……っ」
わかってる。世間の目も、親が心配するこも。
だから悔しいんだ。
「梓葉を見ていると、おふたりがどれだけ彼女を大切にしているのかがわかります。そんなふたりのかけがえのない宝物を壊すこと、絶対にしないと約束します」
「矢吹さん……」
パパとママをまっすぐみてそういう彼に、目頭が熱くなる。