制服レモネード
「最近の梓葉、違うんだよ。今までは、どこか僕らに気を使っているようにみえて。そんな梓葉が今、生き生きしている。矢吹くんと過ごすようになったからと言われれば納得できるよ」

パパのセリフを聴いて鼻の奥がツンとする。

前に矢吹さんに「親に愛されてる実感はちゃんとある」と言ったことがある。

でも、その反面、ほかの親に比べたら、私のことにあまり関心がないんじゃないかと思ったこともあるわけで。

だけど、今、こうやって話してみて。

パパがちゃんと、私の変化に気付いてくれていたことを知れて、今まで少し引っかかっていたものが解けてゆく。

「ありがとう……パパ、ママ」

緊張や不安で硬くなっていたものがゆっくりと溶けていって。ブワッと涙が溢れる。

「よし、矢吹くん、もう緊張するのはおしまいだよ。これからたくさん梓葉の世話をしてもらうからそのつもりで」

パパはそういいながら立ち上がって、コップの置かれた食器棚へと向かった。

「あ、矢吹くん、お酒は?」

「え、あ、大丈夫ですけど」

戸惑いながらそういう矢吹さんにパパが嬉しそうにコップを渡した。
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