制服レモネード

梓葉 side

「大丈夫ですか?変じゃないですか?!」

あれから2週間ほど経った週末。

普段は着ないような、上品めなネイビーの花柄ロングワンピースを着て。

矢吹さんの運転する車で、格好が変じゃないかたずねる。

「変なわけないだろ?そんな可愛くおめかしされちゃ、まともにみられないから困るけど」

「え……見られないってことはやっぱり」

「……ったく」

信号が赤になって車が止まったのと同時に、ふわっと大好きな香りが鼻をかすめた。

っ!?

あっという間に唇が奪われて、身体中が熱くなる。
一瞬で痺れるような感覚になって。

「矢吹……っ、さん、」

少し唇が離れた時に声を出すけれど、矢吹さんはなかなか止めてくれない。

矢吹さんにされるキスはやっぱりどうしても大人で。勝てっこなくて。何も言えなくなる。

「ね、だから困るっていったじゃん。それぐらい綺麗だから」

「うっ、は、い、すみません。ありがとう、ございますっ」

矢吹さんは「ごめん、また塗らなきゃね」と私の唇を指で少し拭ってから、運転を再開した。

「そういえば。矢吹さん、実家のはちみつ使っているって言っていましたけど……」

矢吹さんから、実家が養蜂場だと教えてもらって、あの後スマホで検索をかけて調べてみた。

産地直送品のはちみつで、評価もすごく高い、知る人ぞ知る人気のはちみつって感じで。

産地直送ってことは、やっぱり、矢吹さん、取り寄せてるってことなのかな?
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