制服レモネード

「はい。先日、ちゃんと報告しました。やましいことが何もないのと、少しでも身近な人たちに応援してもらえる2人でいたいと、矢吹さんが言ってくれたので。うちの両親も最初は驚いてましたけど、最後はもう、父なんか、矢吹さんのことなかなか帰そうとしなくて……」

あの日のこと、思い出すだけでも顔がほころんでしまう。

あの時のパパと矢吹さんみたいに、私も、矢吹さんのご両親とあんな風に笑えるようになりたい。

矢吹さんと、矢吹のおとうさんと、私のパパが揃って笑っているところを見たい、そんな風に思うんだ。

こんな風に、好きな人の両親に挨拶するなんて、それこそ人生初めてのことで、ど緊張だけれど、自分のことよりも、今は、矢吹さんとおとうさんの関係を修復させて欲しいって気持ちが強い。

「私、矢吹さんのこと幸せにします!大切な人たちから愛されるようなそんな2人になりたいです!私と矢吹さんの交際を許してほしいのと、家を出て行った矢吹さんともう一度……っ、」

「ちょ、梓葉、そんなことしなくて……」

「梓葉さん、顔をあげてください」

感情が高ぶって、気づけば、畳に手をついて頭を下げていた。

矢吹さんに教えてもらった初めての感情、胸がギュッてなったり、すごくあったかくなったり、時には無性に泣きそうになったり。

たくさんもらったのに、私は矢吹さんのために何もしてあげられないのがもどかしい。

やっぱり、私がまだまだ子供なのがいけない。

年齢を聞いた瞬間、明らかに2人の顔が変わったもん。
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