制服レモネード
「2人の交際のことには口出ししないよ。2人が決めることだ。そちらの親御さんが許してるならなおさら。ただ、私とこいつのことは、あなたが踏み込んでくることじゃない」

「……っ、」

年齢のことで線を引かれることが、一番辛いことと思っていた。実際そうだった。

でも、今この瞬間、年齢ではない、もっと大きなものに壁を作られた感じがして、喉の奥に何か詰まったように苦しくなる。

「ごめんなさいね、梓葉さん。この人、すっごく頑固で……」

間に入って矢吹さんのおかあさんがそう言ってくれるけど、悔しくて、俯いたまま声が出ない。

でも……。
ここで引き下がって何もできないなんて。

そんなの嫌だ。

来た意味がなくなっちゃうよ。

『仕事に戻るから』
そう言って、おとうさんが立ち上がろうとした瞬間──。

「ありがとう梓葉、ごめんな」

隣で、矢吹さんが切ない声でそういうのが聞こえる。

「……っ、」

だめだ。まるでもう終わったみたいに。

そんなの。

いやだ。

「……みつ」

私の声に、おとうさんの足が止まった。

「矢吹さんの作るレモネードに入ってる蜂蜜、すっごく美味しいんですっ」

ポタッと、自分の涙が、手の甲に落ちる。
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