制服レモネード
「梓葉さん、今日は本当にありがとうね」

優しく笑いかけながら、おかあさんがそう言ってくれる。

感謝しなきゃいけないのは私の方なのに。

「いえ、こちらこそ、本当に突然来たにもかかわらずたくさんもてなしていただいてっ!今度は、おかあさんたちも私のうちに……」

なんておこがましかったかなと思い、続きを飲み込んで恐る恐るおかあさんの顔を確認する。

「まぁ!ぜひ!こんなに可愛らしい娘さんのご両親、早くお会いしたいわ!あ、でも、梓葉さんのご両親もさぞお若いんでしょうね、こんなおばちゃんが会いに行っても大丈夫かしら」

「おばあちゃんなんてとんでもない!」

矢吹さんのお母さんは、本当に綺麗で、さすがあのカッコいい矢吹さんのお母さん!と思うぐらいだ。

「フフッ、この際年なんて気にしないで、会いに行っちゃうわ。すっごく楽しみ!」

「っはい!私も楽しみです!」

矢吹さんのお母さんが、気さくで話しやすくて優しい人で本当に良かった。

2人でふふふっと笑いあった後、おかあさんが静かに口を開いた。
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