制服レモネード
「授久が選んだ人が、梓葉さんで本当に良かったわ」

「えっ」

「彼が女の子を紹介してくれたの、初めてなのよ」

「え、そうなんですか!」

私が初めて……すっごく嬉しい。

「授久と出会ってくれて、こうしてここまで来てくれて、本当にありがとう。あなたがいなかったら、私たちはきっと家族に戻れなかったわ」

「そんな、私はなにも……」

おかあさんからこんなことを言ってもらえるなんて……もう感無量だ。

「授久本人もそう言っていたでしょ?ほんと、すごく変わったわよ。我が息子ながらびっくりしちゃったもの。あんなに立派なことまっすぐ言えるようになってて。梓葉さんのこと、守りたいって大切にしたいって授久が本気で思ってる証拠ね」

「うっ、なんと言っていいか……嬉しいです、ありがとうございますっ」

もっと言えることはあるはずなのに、思わず涙が流れてきて思うように言葉が出てこない。

矢吹さんと年の離れた、まだ学生の私が、彼と付き合うことで、矢吹さんが周りからどういう目で見られちゃうか、ご両親たちはどう思うか、不安もあったけれど。

こんなに素敵なご両親に見守られながら2人で歩いていけるのなら、こんなに幸せなことはない。
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