制服レモネード
「心も……お腹もいっぱいで……」

朝に食べたおかあさんのはちみつトーストとの味も、レモンのはちみつ漬けも、とても美味しかった。

それに加えて、昨日のおかあさんの言葉や、さっきのおとうさんの言葉。

すごく幸せすぎて。

「昨日、おかあさんに言われたの。矢吹さんと出会ってくれてありがとうって。でも、そんなの、感謝しないといけないのは私の方なのに、私の方が矢吹さんと出会えてありがとうなのに、思うように言葉にできなくて……」

矢吹さんの家族にちゃんと認めてもらえたこと、これから先、もっと堂々と2人で歩けること。

幸せでどうにかなっちゃいそうだ。

「……心のどこかで、俺がもし梓葉と同じ高校生だったらって、考える瞬間がたくさんあった。でも結局止められなくて。今こうして隣にいてくれてることにすごく感謝しているよ。今はもう、自分が高校生だったら良かったのに、なんて少しも思ってない」

「矢吹さん……」

それは、私も前に思っていたことと同じで、それを矢吹さんも同じように思っていたのかと思うと、胸がギュッとなる。

「母さんがそんなことを梓葉に言ったのも、そう言われて梓葉が喜んでくれることも、俺にとってもすごい幸せなことだよ。ありがとう。それから……」

矢吹さんは小さく呟くと、私の肩を引き寄せて距離をグッと縮めて。

チュッと私の唇を奪ってから、

「あんまり可愛いことばっかり言うと我慢できないから。気をつけて」

そう言って私の髪をワシャワシャと撫でた。
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