制服レモネード
「よーーし!!写真撮るぞーー!!」

そんな濱谷くんの声がしてふと顔を上げると、、濱谷くんと結衣が先の方で私と龍ヶ崎に声をかけていた。

「行くぞ、梓葉!」

「わっ!」

龍ヶ崎くんが私の手を捕まえて。

私たちは、桜花の蕾が膨らむ木の下で、高校生活最後。
最高の笑顔でシャッターを押した。





「本当に良かったの?家族でお祝いする予定じゃなかった?」

「いえ!全然!これから春休みだし、やろうと思えばいつでもお祝いなんてできますし!」

卒業式が終わり、打ち上げが終わり、時刻は午後9時半。

矢吹さんの部屋のソファに座りながら、作ってくれた安定のレモネードをぐびっと一口飲んでそういう。

「どうしても、矢吹さんに早く会いたくて」

自分でこういうことを言うのは、付き合って1年が過ぎてもまだまだなれない。

卒業式の日、必ず矢吹さんに会うと決めていた。

だって、私がずっと待ちわびていた日だ。

矢吹さん一歩、追いつける日。

「へーどうだろう」

ん?どうだろう?

「どう言う意味ですか?」

矢吹さんの意味深な言葉に、そう問いかけると、矢吹さんは自分のスマホを触り出してから画面を私の方へと向けた。

「すげー楽しそうだから、俺のことなんて忘れてたんじゃないかって、」

っ?!

矢吹さんが見せてきたのは、私と龍ヶ崎くんがツーショットで写っている写真。

卒業式の後、写真大会のようになって、先生や、去年ファッションショーでお世話になった服飾部の元部長も卒業式に駆けつけてくれたから、そんな人たちと写真を個別に撮ったけど、もちろんそれは龍ヶ崎くんもで。

でも、なんでこの写真を矢吹さんが持っているんだろうか。
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