制服レモネード
「そんな煽ることされちゃ、嫌だって言っても止めてあげないけど?」
「……っ、いいですよ、止めなくって」
自分がこんなに大胆なことを言えるようになってることにも驚くけれど。
もうずっと、私は矢吹さんと、もっと触れたくて、たまらないんだ。
「それとも、我慢してたの、私だけ、ですか?」
「ほんっと、いつからそんなに悪い子になったのかな」
私はいつだって、矢吹さんを追いかけているから。
「……でも、」
矢吹さんはそう言って、身体を私から離した。
え、やっぱり、今の積極的すぎた?
引かれたかな?
卒業すれば、矢吹さんともっと触れ合えるようになれると思ってた。
もっと体温を……。
そう思っていたのは私だけ?
不安になりながら、私も同じようにソファに座りなおす。
「こっちにもちゃんと順序っていうのがあるから」
矢吹さんはそういうと、ソファの横に置いていた紙袋から黒い箱を取り出した。
矢吹さんが取り出すまで、そこに紙袋があったこと全然気が付かなかった。
なんだか前にも同じことがあった気がする。
そう思って、首もとのネックレスを触る。
矢吹さんからこのネックレスをもらった時も、確かこんな風に、箱を取り出されて。
「これって……」
パカッと開けられた箱の中には、キラキラと光るシルバーリング。
「俺の気持ちはずっと変わってないよ。梓葉が高校卒業したらしようって決めてた」
「嘘……」
あまりの衝撃に、手が震える。
これから矢吹さんに、一歩近づける。
それだけですごく嬉しいのに。