制服レモネード
どう考えても俺よりずっとしっかりしてるくせに、こんなところは、弱くて、だからそそられて仕方がない。

「1年分。悪いけど、今日寝かさないよ」

「寝られるわけないですよ、矢吹さんが隣なんて」

「ふっ、それならお互い好都合だ」

知らない景色をたくさん見せてくれて、

多分これからもたくさん見せてくれるんだろう彼女に、

少しでも、俺が梓葉でいっぱいなことが伝わってほしいから。

丁寧に、丁寧に、彼女の身体に触れていく。

「ねぇ、梓葉」

「っ、何ですか」

彼女の頬に手を添えて。

「名前、呼んでよ。呼び捨てで」

「えっ、」

そう言うと、少しびっくりした顔をして、そのまま目を逸らされる。

たくさん我慢してきたんだ、これくらいのご褒美でバチは当たんないよね。

「っ、さ、ずく……」

「全然聞こえない」

そんな意地悪を言えば、口ごもった彼女が再び口を開いてから。

「……大好きだよ、授久」

っ?!

彼女の一枚上手なそのセリフに、

「ほんと、ずりぃ」

そう言って、今までで一番、甘いキスを落とした。
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