制服レモネード
──ガチャ
「こんにちは!アズの親友の橋本 結衣です!」
「同じく親友の濱谷 淳です!」
「……」
「梓葉、これどういうこと」
週末のお昼過ぎ、私は今、結衣と濱谷くんと一緒に、玄関に出てきてくれた矢吹さんに睨まれている。
「あっ、えっと……矢吹さん、に、勉強、を教えてほしいなぁ!と思って……」
「は?全然意味わからないから。俺、塾の先生でもなければ家庭教師でもないの。忙しいから帰って」
矢吹さんは、結衣と濱谷くんを追い返すように、手をシッシッとやった。
「え〜そんな固いこと言わないでくださいよ〜!」
「大人なんだから教えられるだろう!」
「あ、ちょ、2人とも……」
矢吹さんは、「あ〜めんどくせ〜」と言いながら頭をガシガシとかく。
「俺、仕事で疲れてんだよ。なんで休みの日まで頭使って子供の子守しないといけないの」
いや、子守って……私たちそこまで子供じゃ。
「あ!矢吹さんみてください!ライオンが空飛んでます!」
結衣がテキトーな場所を指差しながら騒ぐ。
「もっとまともな嘘つけないのかよ……って……ちょっ!」
「お邪魔します!はい2人も!」
矢吹さんが呆れて頭を抱えたその隙を狙って、結衣が私の手を引っ張って、矢吹さんを横切って玄関に入り、流れるようにリビングへと向かう。