制服レモネード
勉強を渋々見てくれるとことになった矢吹さんは、私たちの教科書なんかをペラペラめくっては「懐かし〜全然覚えてね〜」なんて言っていたけど、

いざ教えるモードになると、丁寧に私たちに教えてくれた。

「矢吹さん、英語得意なんですか?」

問題を解きながら、結衣が質問する。

「まぁまぁかな。仕事でも会議は英語だからね」

「え!会議英語?!どんだけグローバルな会社なんだ!」

結衣は「すげーすげー」と騒ぎだし、「はまやんも頑張ってこういう会社についてお金持ちアピールしないと、モテないぜ」なんて濱谷くんの肩を叩いた。

「え〜。やっぱり金なの?え〜、ねぇ、アズはそう思わないよね?男は金じゃないよね?」

濱谷くんは、私の肩に自分の頭を置いてからふざけた甘え声でそう聞く。

「私は、誠実さが1番だと思うな。濱谷くんは優しいし、嘘つかないから、大丈夫だと思うよ」

「甘やかすなよ〜この男褒めると調子乗るぞ〜。つーか、はまやんのどこが誠実なんだ」

動かしていたペンを止めてそういうと 結衣。

「え、結衣ってなんでそんな俺にあたり強いん」

「チャラいから」

「え!絶対チャラくない!」

2人のこういうやりとりが大好きで、夫婦漫才を見てる気分になる。

「あのさ、教えてもらってる分際なんだから、もっと私語を慎もうとは思わないわけ」

「あっ、すみません」

「へい」

「……はい」

私たちが静かに返事をすると、矢吹さんはため息をついてから再び私たちのノートをのぞいた。
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