制服レモネード
それにしても意外。
嫌がってたのに質問したらちゃんと答えてくれて。

矢吹さんは絶対、意地でもこういうの無視するんだと思っていた。

「あ〜づがれだ〜」

「死ぬ〜」

結局、3時間ほどぶっ通しで矢吹さん宅で勉強した私たち。

私を挟んで座る結衣と濱谷くんが、揃って私の肩に頭を置く。

「ちょっと2人とも重いって……」

「そりゃ、そーだろうよ。こんなに頭に数字詰め込んだことない」

「俺も単語パンパン。まじ今なら国籍変えられそう」

「はい。ギブアップならもう帰れ」

矢吹さんがそういうと、限界のきた2人はゆっくりと立ち上がる。

「ごめんアズ、あんま役に立たなくて」

濱谷くんが耳打ちで私にそういうので、ブンブンと顔を横に振る。

今日は2人のお陰で矢吹さんと話せたんだから。

まぁ、肝心の矢吹さんは終始めんどくさそうだったけど。

「ありがとうございましたー!テストの結果報告しにまたきまーす」

「来なくていいから。2度と」

玄関で手を振る結衣に、矢吹さんが疲れたようにそう言った。

「俺もまたきまーす」

「お前1番来んな」

「じゃあまた学校でね、アズ」

「バイバーイ!」

そう言って玄関を出る2人に手を振ってから、身体を改めて矢吹さんの方へと向ける。
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