制服レモネード
「今日は、突然、本当にすみませんでした」

「本当、こういうの迷惑だから」

「……はい。ごめんなさい」

自分が悪いのは分かっているけど、はっきりそう言われると、落ち込んでしまう。

「梓葉だけだから」

「えっ、」

パッと顔を上げると、矢吹さんは目線を外した。

「俺が教えるの、梓葉だけだから」

「……っ」

子供は相手にしない、子供にはわからない、
そうやって、簡単に突き放そうとするくせに。

そんな風に言われちゃうと、期待してしまう。
子供だから、単純だよ。

「なんでそういうこと、いうんですか」

「……」

こうやって、玄関で話すのは2回目だ。
最初は、矢吹さんが酔っ払っていた時。

あの時すごく顔が近かったことを思い出して、身体が熱くなる。

「なんか……似てるって思っちゃったから」

「似てる?」

「俺と梓葉」

矢吹さんの台詞に、はてなマークが止まらない。
私と矢吹さんのどこが似てるっていうんだ。
むしろ全然似ていないよ。

「まぁ、でもそれ思ってたのは最初だけで全然違ったんだけど」

と矢吹さん。
やっぱりそうだよね。でも、どこが似てるって思ったんだろう。最初っていつのこと?

また、矢吹さんへ聞きたいことが色々と浮かんでくる。

「つーかそれよりさ」

やっと矢吹さんがこっちを見てくれたと思ったら、すごく不機嫌そうな顔で。

私また変なこと言った?
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