制服レモネード

「濱谷くんって梓葉の何」

「えっ、何ってただのクラスメイトですけど」

「ただのクラスメイトがあんな親しげに名前呼ぶの」

え?何?なんで矢吹さん、濱谷くんにそんなにイラついているの?

もしかして濱谷くんが私のことを『アズ』って呼んでいるのが気になるのかな。

「あれは、濱谷くんの部活に岡部先輩って人がいて、私と苗字が同じだから、普通に呼ぶと、先輩のことを呼び捨てにしてるみたいで変だって言ってて、だから、結衣と同じようにアズって呼ぶように……」

「ふーーーん。それにしても触り過ぎたと思うけど」

「そう……かな?濱谷くんはコミュニケーションとるの上手だから……」

ますますイライラしていくように見える矢吹さんの顔色を伺いながら話す。

「コミュニケーション?あれが?女子にベタベタしたくてやってるようにしか見えないけど」

「な、何怒ってるんですか矢吹さん。濱谷くんはいい子ですよ。今日はちょっと突然押しかけて失礼だったかもしれないけど」

そうしてくれたのだって私のためだった。
私が、矢吹さんと距離縮められるようにしてくれたんだ。

「いい子な男子高校生なんているわけないだろ。だいたい動機は不純だよ。男子高校生なんて頭の中エロいことしか考えて───」

「は、濱谷くんは!矢吹さんみたいな人じゃない!」

矢吹さんのセリフに、顔を熱くさせながら、私は強くはっきりそう言った。
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