制服レモネード
「え、何。テストできなかったのって……矢吹さんが原因?喧嘩のこと考えて?」

私はコクンと頷くことしかできない。

「しかも教えてもらった英語が……一問も解けなくて」

「えっ、一問も?!こりゃ重症だよ、なんてこった」

「恋愛するのが初めてだもんなー。そりゃ新しい感情ばっかで勉強なんて手につかないだろうよ。でもあのアズがねー」

恥ずかしすぎる。

好きな人と喧嘩して、ごめんなさいが言えなくて、出張で会えないのが寂しくて、それで勉強ができなくなっちゃった、なんて。

「って言うか、矢吹さんの方が大人なんだから、先に声かけてくれても良くない?」

「ううん。違うの。この間、矢吹さん声かけてくれて。だけど、謝ろうとする前に出張のこと聞いちゃって」

「出張?!え、あの人今、出張行ってるの?!」

驚いた結衣がもともと大きい目をさらに見開いてこちらを見つめた。

「うん。それで、会えないのが余計、ざわざわしちゃうといいますか……」

「なるほどな〜。よし!テストの結果もあいつのこともとりあえず今日は忘れて!お疲れさん会しに行こうぜ!」

私の髪の毛を軽くわしゃわしゃする濱谷くんがそう言うと、「そーだそーだ!発散発散!カラオケカラオケ!」と結衣が騒ぎだす。

そうだよね。最近しょっちゅう矢吹さんのことで2人に相談ばっかりしてたし。今日くらい、何も考えないで。
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