制服レモネード
「あっ、岡部さーん」

3人で話していると、教室に入ってきたクラスメイトに声をかけられる。

「先生が職員室に来てくれだって」

「あ、はい」

職員室?一体なんだろうか。

私は、結衣と濱谷くんに「先にカラオケ向かってて」と頼んでから、職員室へと向かう。

──ガラッ

「失礼しまーす」

「お、岡部、こっち」

職員室のドアを開けると、私に気付いた担任の先生がすぐに合図をしてくれる。

「あの、先生、どうしましたか?」

「いや岡部、どうしたのは、こっちのセリフ」

「えっ、あぁ」

そうだった。

英語って、先生の担当だったよね。
そりゃ、今までだいたい70点ぐらい取っていた生徒が急に解答用紙を白紙で出すなんて、びっくりするに決まってる。

「やっぱりあの時、体調悪かったか?」

「あっ、いや……なんとも」

「じゃあなんだ、悩み事か?家のこととか友達関係とか……」

さすがに、恋煩いですなんて口が裂けても言えるわけない。

「岡部は今までずっと優秀だったから、何かあったんだと思うけど、特別扱いはできないぞ?」

「はい」

「知ってるな?うちは赤点が一つでもある生徒は追試だって」

「はい。……知ってます」

先生は、淡々と返事する私に「んー」と納得いかないかのような声を漏らす。

「すみません……」

──ドンッ!!

「だから、俺は売られたから買っただけだって言ってんだろ?!あ?!」

突然、職員室の奥の席から大きな物音と怒鳴り声が聞こえて、そこにいた全員が音のした方に注目する。
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