制服レモネード

「落ち着きなさい、龍ヶ崎!」

「はぁ?俺だけ呼ばれるとかそりゃ落ち着けるわけねーだろ!あいつも同罪だろうが!」

────バンッ!!

なんだあれ……。

2人の先生に必死になだめられる龍ヶ崎と呼ばれた人。なにあの子。

印象的なアッシュグレージュの髪色。長めの前髪は分けられていて、全体的にパーマがかかっている。
初めて見る人だ。

多分、同じ学年ではない。あんな人うちの学年にいたら絶対目立つし。

「あぁ、あれ、1年の龍ヶ崎 一(りゅうがさき はじめ)。先週編入してきたばかりなんだけど、ほんと問題児で。よく編入試験受かったよな〜。まぁ、岡部とは正反対のやつだから関係ないとは思うけど。一応、気をつけてな。じゃあ、来週の追試、頑張ってな」

「は、はぁ……」

典型的なザ・不良少年って感じの子、生で初めて見たかも。

私は、先生にペコッと頭を下げて職員室を後にした。

「待ちなさい!龍ヶ崎!」

「うっせーな。一発殴っただけでガタガタ言ってんじゃねーぞ!」

っ?!

私が職員室を出てすぐ、そんなやりとりが中から聞こえたかと思うと。

「タラタラ歩いてんじゃねーよ。邪魔」

後頭部にそんな声が降ってきた。

「はっ、ご、ごめんなさいっ!」

慌てて後ろ向いて頭を下げる。

「チッ」

うわっ、舌打ち……一年生、だよね?
私一応先輩なんだけどなあ。

彼は「あーったくイライラする」と呟いてから、そのまま私の横を通り過ぎた。

うわぁ。うちの学校にもあんな人がいるのか。

今まで見たことなかったし、不良がいる話なんて聞いたことがないから、あの龍ヶ崎くんっていう人が特殊なんだろうけど。

って!
龍ヶ崎くんのことはどうでもよくて!
結衣たち待たせてるんだった!

私は急いで、2人の待つカラオケ店へと向かった。
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