制服レモネード

「あの、すみません、スマホの忘れ物ありませんでしたか?!さっき301号室を利用していたものなんですが!」

受付にいた女性店員にそう聞くと、「あっ、」と何か思い出したようにしてから「少々お待ちください」と言って裏の方へ向かって行った。

「よかった〜!ありがとうございましたっ!」

差し出されたスマホは正真正銘私のもので、ほっとする。

私は再度お礼を言ってから、ホッと一安心して、カラオケ店を出る。

さっきの人たちもまた話しかけてくることはしなくて。

もう門限まであまり時間はないし、ママに今帰るととりあえず連絡してから、帰ってゆっくりお風呂に浸かろう。

そう思いながら、少し歩いてから、立ち止まってママにメールしていると。

「Y高の生徒だよね?」

っ?!

後ろから男の人のニヤついた声が聞こえと思ったときにはもう。

「やっぱほら、可愛いじゃーん。俺の言った通り」

5、6人の男の人たちに囲まれてしまっていた。
さっきカラオケ店のところにいた人たちだ。

「ねぇ、1人?」

「あの、すみません、急いでるので……」

「わー本当だー!可愛い顔してる!名前なんていうの?」

男の人たちはまるで私の声なんて聞こえていないかのよう。

どうしよう……急いでいるのに。
早く帰らないとママたちが心配しちゃうよ。
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