制服レモネード
「あっ、あの!ありがとうございました!助けてくれて……」
ゆっくりと歩き出す龍ヶ崎くんに向かって、慌ててお礼を言う。
もしかして、私のこと覚えててくれて助けてくれたのかな?なんて。いや、それはないか。偶然だよね。
「てめーバカじゃねーの」
「えっ」
「助けたつもりねーけど」
「あいつらが邪魔だっただけ」と付け加える龍ヶ崎くんは、まだそこに立っていて歩く気配がない。
「ったく、早く行くぞ」
「へっ?」
痺れを切らしたかのようにそう言う龍ヶ崎くんにまた頭にハテナマークを浮かべてしまう。
一体どこに行くっていうんだ。私はまっすぐ家に帰りたいのに。
「お前のうち」
「お、送ってくれるんですか?!」
第一印象は正直最悪だったし、今だって怖いけど、意外なことを言う龍ヶ崎くんに思わずそう聞き返す。
「さぁ。俺に襲われるか別のやつに襲われるかどっちかだな」
「へっ」
「危機感持てって言ってんの。送ってくれるんですか?じゃねーよ」
そう言いながらも、「まっすぐか?」と聞いて、私が頷くと歩幅に合わせて歩いてくれる、龍ヶ崎くん。
街灯はあるけれど、フードを被っているので顔ははっきりと見えないけれど。
今日学校で見たあの暴れていた龍ヶ崎くんに間違いない。
「あ、そういえば、龍ヶ崎くんってうちの学校に編入してきた1年生、ですよね?」
「……はぁ?」
沈黙をどうにかしたくて話しかけたら、あからさまに嫌な顔をされる。
失敗だったか。