制服レモネード

「えっと、ごめんなさい。今日職員室にいるの見て、編入してきた1年生だって聞いたので。まさか1日に2回も、しかもこうやって外で会うとは……」

どうしよう……自分でも何言ってるかわかんないや。そんなこと言われても、龍ヶ崎くんは私のことなんて覚えてないだろうし、だからなんだよって話だよね。

「なんで敬語」

「えっ」

「ネクタイの色。あんた先輩じゃん。なのになんで敬語なんだよ」

龍ヶ崎くんに言われて、私は自分の制服のネクタイを見つめる。

ライトブルーとネイビーのストライプのネクタイ。

うちの学校は学年ごとに、レッド、ライトブルー、イエローの3つに制服のネクタイが分けられている。

2年生はライトブルーなんだけど、龍ヶ崎くん、それに気づいて……。

「そんなこと言ったら、龍ヶ崎くんだって、後輩なのにタメ口じゃん」

怖いなって思っていたのに、私の口は自然とそう発していた。

「うざー」

龍ヶ崎くんはそう言うと、チラッとこっちを横目で見た。

あ、やばい。怒らせちゃった?

「大人しそうな顔してよく言うな」

「ははっ、すみません。龍ヶ崎くん、前はK高にいたんだね。編入してきてどれくらい経つの?」

「2週間立たないくらい」

「そうなんだ。うちの学校ではあんまり見ない雰囲気だったから印象強くてさっき見た時もすぐ思い出したよ」

「ガリ勉多いもんな」

「ガリ勉って」と言いながら苦笑する。

怖いって思っていたのが嘘みたいに、なんだか意外と話しやすい人だ。
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