制服レモネード
「本当に、ありがとうございましたっ。このお礼は必ず!」

「別に礼とかいいから、二度と夜に1人で歩くな」

マンションのエントランスに無事についてから、龍ヶ崎くんに何度もお礼を言うと、若干呆れたような声で注意される。

「うん。気をつける。龍ヶ崎くんも喧嘩、しちゃダメだよ。クラスメイトとは仲良く」

「んだよ。あの時の聞いてたのかよ変態」

「え、変態ってことはないでしょ。あんなに騒いでたら職員室にいた人全員に聞かれてるって〜」

「俺は悪くねーの。じゃ」

龍ヶ崎くんはそう言って、今来た道を向いて、歩き出そうとする。

「また学校でね!龍ヶ崎くん!」

私が彼の背中に向かって慌ててそう声をかけると、こちらを振り向かないまま、片手を軽くあげて夜道へと帰っていった。

思ったより、うんといい人だったな。来た道戻るってすごくめんどくさいのに、よく知らない私のためにここまでしてくれるなんて。

学校でも先生やクラスメイトとうまく出来るようになれたらいいな。

彼のことをそう願って、私はマンションの中へと向かった。
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