制服レモネード
「ちょうど良かった。梓葉に渡したいものあったから」
「渡したいもの?」
私の問いかけに「うん」と返事をして、入れたてのレモネードをローテーブルに置いた矢吹さんは、私の隣に座った。
ソファに座って、隣に置いたキャリーバッグのチャックを開ける矢吹さんを、入れてもらったレモネードを飲みながら見つめる。
うん。1週間ぶりの矢吹さん特製レモネード、やっぱりすんごく美味しい。
久しぶりだから余計、美味しく感じられる気がする。
「あったあった」と言った矢吹さんは、中から小さな紙袋を取り出してこちらに身体を向けた。
「はい」
差し出された小さな赤茶色の紙袋に向けていた目を矢吹さんに向ける。
固まった私にグッとさっきよりも紙袋を近づけると、矢吹さんは少し顔を晒した。
「開けて、いいですか?」
「ん、気にいるか、わかんないけど」
矢吹さんは「今のJKの流行りとか?そんなものよくわからないし」とかなんとかゴニョゴニョ濁しながら話す。
紙袋の中に手を伸ばして、中に入ってるものに手を伸ばす。置物のような、なにかの形をしている物体。そのまま、紙袋の外からその物体を取り出す。
っ?!
「っ、か、可愛い!!」
私の手の中には、クマの形をしたプラスチックの容器にレモンカラーの小粒が詰まったものがキラキラと輝いていた。
「金平糖。レモネード味とまではいかないけど、この色、なんか梓葉っぽいなって」
容器の中に入ったキラキラした金平糖を見つめて、再度矢吹さんに目を向ける。
私はあんなひどいことを言ってしまったのに。