制服レモネード
「私も……矢吹さんに嫌われたくないです。これからも間違えて変な質問したり、言ったりして、矢吹さんに嫌な思いさせちゃうかもしれないけど」

「今までも、嫌な思いした記憶はないよ」

矢吹さんはまっすぐ私の目を見て優しい表情でそう言った。でも、そんなの嘘だよ。散々私やらかしてるって。

「一瞬、ガキのくせにって思うけど、そのすぐ後、そうだなって納得しちゃう。梓葉の言葉にはいつだって」

「納得……?」

「うん。多分、俺より梓葉の方が大人。うんとね」

「……そんなわけ」

正直、少しでも年齢の差をどこかで埋められていたのなら、と思うと嬉しくて、にやけそうになる顔を隠すように、レモネードをまた一口飲む。

嫌われたくないとか、私の方が大人だとか、そんなこと言われたら、変に期待しちゃう。

「仲直りってことで受け取ってくれたら嬉しいな」

「はいっ、ありがとうございます!とってもとっても可愛いです!食べるのもったいないのでずっと飾っておきたいです!」

「ハハッ、なにそれ」

久しぶりに、矢吹さんの笑顔が見れてホッとしたのと同時に胸がキュンとなる。

改めて、やっぱり好きだって、溢れちゃうな。
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