制服レモネード

「おはよ!アズ」

「な〜にスマホ見ながらにやけてんの」

翌日の朝、スマホ画面を見つめる私のところに濱谷くんと結衣がやってきた。

「おはよう2人とも!実は……」

2人が私の机の周りを囲むなり、にやけの原因を話す。

無事に矢吹さんと仲直りができたこと、お詫びのプレゼンまでもらってしまったこと、勉強を見てくれると言ってくれたこと、

そして────。

「それから、これからなにかと必要になるかと思うからって、矢吹さんの連絡先もらいましたっ!」

そう言って、ずっと見つめてたスマホ画面を2人の方へ向ける。

「うへ、まじ急展開!」

「やるじゃんアズ!」

驚いた2人はすぐに嬉しそうな顔をしてくれて「よかったよかった」と笑ってくれた。

「矢吹さんだけに頼ってちゃダメだから、追試までの1週間、休み時間と放課後は勉強漬けになると思うけど、2人ともご理解よろしくお願いしますっ」

2人にそう頭を下げると、結衣が私の頬に手を伸ばしてきて私の顔を上に向けた。

「ゆ、結衣?」

「矢吹さんだけずるい〜!アズが取られる〜!」

「取られるって……矢吹さんの中で私が恋愛対象じゃないことは変わらないから、今までと何も変わらないよ」

慌てて訂正しながら自分で言ってて悲しくなる。矢吹さんにはもう少し、私のことをそういう目で意識して欲しいのに。

「まぁまぁ、嬉しいことじゃん。確実に進展してると思うし、今まで見たことなかったアズが見られて俺は嬉しい」

「何呑気なこと言ってるのかねこの男は」

「結衣はできなさそうだもんな〜彼氏」

「お前に言われたくない〜!」

2人の相変わらずのやりとりにホッとする。
お似合い、だと思うけどな。なんて。
多分そんなこと言ったら今はまだ怒られるんだろう。
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