制服レモネード
「まだまだだな〜アズ」

「え、何急に」

得意げに私の名前を呼んだ結衣がドヤ顔でこちらを見ている。

「時間がないから恋ができないんじゃないんだよ。時間がなくったって、本気で好きな人ができたらその人のために死んでも時間を作るもんなの」

「まるで、私は恋多き経験豊富な女です〜って言ってるように聞こえるな」

バシッと決めたように見えた結衣に濱谷くんがそう突っ込んだ。

「って、この間読んだ少女漫画に書いてあった」

「やっぱりそこからかよ」

2人のやり取りは見てるだけで自然と笑みがこぼれる。今は、正直、恋とか彼氏っていうよりも、この時間を大切にしたいなって思ってる私って、変なのかな。





放課後、濱谷くんの伝言通り体育館に向かうと、そこにはやっぱり見覚えのない男の子が1人立っていた。

私はいつものように「気持ちはすごく嬉しいです。でも、ごめんなさい」と言ってから、その場を後にした。

私のどこがいいんだろう。告白してくるのは話したことない男の子が多い。

身長が他の女の子より少し高いってだけだけど、昔から「大人っぽいね」とはよく言われていた。

自分ではよくわからないものだ。

結衣の方が、オシャレやメイクに気を使っていて断然キラキラしているのに。

どちらかというと私は地味な方だと思うけど。
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