制服レモネード
「あっー、えっと……」

さすがに、デートなんて単語はまずかったかな、そう思って謝ろうとして瞬間、

「行きたいところ、考えておいて」

っ?!

頬杖をついたまま、今度は両目をこちらに向けて。
優しく目を細めて微笑んでから、矢吹がそう言った。

「い、いいんですか?!」

「ご褒美やるって言ったしね。それともデートしたいって言うのは冗談だった?」

意地悪っぽく口元をニヤッとさせながら笑った矢吹さんに、ブンブンと激しく首を横に振って否定する。

「します!絶対します!したいです!」

「あぁ、でもその前にちゃんと90点以上、な?」

「はいっ!」

隣に好きな人がいる、それだけでこんなに嬉しいのに、デートの約束(仮)をしてしまったなんて。

さっきまで、緊張と嬉しさの2つのドキドキが気になって仕方なかったのに、絶対に負けられない戦いを目の前に、やる気がみるみる出てきて、集中力がぐんと上がる。

モチベーションってすごい。

私は、改めてペンを強くにぎりしめてから、矢吹さんの教える声に耳を傾け、勉強を再開した。
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