制服レモネード
「喧嘩したと思えば仲直りして、今度はデート?!展開についていけないわ!」
翌日のお昼休み、結衣のお弁当を買いにと2人で購買へと向かっていると、
いちごオレの紙パックを握りしめた結衣が、そう言ってキューといちごオレをストローで一気飲みした。
「いや、デートって言っても90点以上取れたら、の話だよ?」
「アズのことだから取るに決まってんでしょー?苦手科目でも赤点なんてとったことないじゃない。今回が異例の事態なんだから」
ドスドスと音がなりそうな歩き方で、人混みをかき分けながらどんどん購買の方へと進んでいく結衣の背中を慌て追いかける。
「結衣っ」
───ドンッ
結衣の背中だけを見ていたせいで横から歩いてくる人にぶつかってしまった。
「ったく、アズ……あれ、アズ!」
私が後ろからついてこないことに気づいた結衣がキョロキョロとしてから、立ち止まった私を見つける。
「す、すみませんっ!」
「お、梓葉」
ぶつかった相手に謝って、すぐ結衣のところへ向かおうと思っていたのに、聞き覚えのあるその声に足が止まった。
顔を上げるとそこには、あの龍ヶ崎くんの姿。
購買や自販機にやってきた周りの生徒たちがみんなこちらに注目していて、コソコソと話しているのが聞こえる。
『あんな不良うちにいたんだ』
とか
『あの子カツアゲされてんじゃないの?』
とか
そんな風に色々言われているにもかかわらず、龍ヶ崎くんはケロッとした顔でこちらを見下ろしている。
前は職員室で怒られてあんなにキレていたのに。