制服レモネード

「大丈夫だよ。龍ヶ崎くんは。あ、そうだ結衣のこと紹介する!」

「はっ?!ちょ、」

「龍ヶ崎くん!この子、私の友達の橋本 結衣!よろしくね」

突然の結衣の紹介に一瞬目を開いた龍ヶ崎くんだったけど、すぐに「あぁ」と頭をペコっと軽く下げた。

「龍ヶ崎一」

後頭部に右手を回してそのままうなじの方にその手を下げた龍ヶ崎くんが静かに自己紹介をしてくれる。

ほらね。

こっちが歩み寄ろうとすれば、龍ヶ崎くんだってちゃんと答えてくれる。

「あ、存じ上げてます〜」

若干引きつり笑いでそういう結衣がいつもの余裕の彼女と違っておかしい。

年下に敬語なんて一番嫌いそうなタイプなのに、よっぽど龍ヶ崎くんって恐れられているんだなぁ。

「あっ、そうだ。梓葉」

結衣に向けていた視線を私に戻してから龍ヶ崎くんが声をかけてきたので「ん?」と聞き返す。

「俺も受けることにしたよ、追試」

「えっ!そうなの?!」

「あぁ、なんか梓葉見てたら、俺もちゃんとやろーかなって」

目線をそらしながら、語尾を小さくしてそういう龍ヶ崎くんに口元が緩む。

「そっかぁ!よかった!一緒に頑張ろね!」

「ん、じゃ、また放課後」

「うん!バイバイ!」

私に手を軽くあげて購買へと向かっていった彼の背中を見つめる。

流れのまま返事しちゃったけど……。
『また放課後』って、どういうことだろう。
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