制服レモネード

いつもの通学路を歩いて、マンションの2階に上がり、見慣れたドアが2つ両端に並んでいるのが見えると、左側のドアに鍵をさして、ガチャリとドアを開ける。

「ただいまー」

そう言っても返事がないのが我が家。
両親は共働きで、帰ってくる時間はいつもバラバラ。

私はローファーを脱いで手を洗ってから、まず最初に、キッチンの冷蔵庫へと向かう。

冷蔵庫の扉にはホワイトボードがかけられていて、ママの字で「食事・ママ」と書いてあった。

今日はママが夕飯を作る日らしい。
その文字を見ただけで、口元が緩む。

パパやママの帰りが遅いこともあって、うちはパパとママと私で家事を分担している。

予定表の中に、食事・掃除機・洗濯の3つがあってそれぞれが1週間、振り分けられているのだ。

私の今日の担当は洗濯。

干されている洗濯物を下ろして畳んで、夜に洗濯機を回して干すのが仕事だ。

「よしっ」

ちゃっちゃと洗濯物を畳もうと体をベランダの方へ向けたとき。

ピーンポーンと、家のチャイムが鳴った。

誰だろう……。

玄関のドアの覗き穴から外を覗くと、知らない女性が険しい顔をして立っていた。

髪は緩く巻かれていて、キラキラのネックレスやイヤリングと、高級そうなバッグ。

少し濃いめの化粧は、大人の色気を醸し出している。
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