制服レモネード
今やってる勉強だって、彼とデートに行くためのもの。それなのに、男のにおいがするなんて、まるで私が矢吹さん以外の男の子と───。

「あっ、」

思わず声を出す。

思い返せば、いた。
最近私が一緒にいる男の子。

そういえば、香水の香りが少しきつい。

この間、龍ヶ崎くんが私に勉強を教えろと言った時、一瞬タバコの匂いがフワッと香ったけど、きっとそれを隠すためなのかなと思った。

タバコなんて体に悪いんだからやめればいいのに、だいたい、未成年なんだから。

今度匂いがしたらそう注意してあげようと思ったら、次の日にはタバコの匂いが消えていて、少しホッとしたっけ。

「あっ、て何?心当たりあるの?」

私のこと好きでもないのに、そんな風に不機嫌に問い詰められると、変に期待しちゃう。

矢吹さんが私のことをガキだと思ってることは十分自覚しているつもりなのに。

「……最近、一緒に勉強している子がいて。その子も追試受ける生徒で……」

「ふーん。まぁ、匂いから、柄が悪そうだなってなんとなくわかるけど」

「龍ヶ崎くんは悪い人じゃないよ!」

思わず食い気味にそう言い返してしまった。

みんながあまりにも見た目だけで龍ヶ崎くんを判断するから、少し悔しくて。

大好きな矢吹さんにはわかって欲しくて。
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