制服レモネード
──ガチャ

「はい、あのどちら様で───」

「は?誰」

私の質問に被さって、女の人がさっきよりもさらに顔をしかめて私を見つめる。

だ、誰とは……こっちのセリフなんだけど。

「えっと……」

「ちょっとどいて」

っ?!

「あ、あの、ちょっと!困ります、勝手に!」

何が何だかわからず固まっていると、女の人が突然、私の体を押して、玄関へと入ってきたので慌てて止めに入る。

一体なんだっていうんだ。

「なに、あの人、女子高生にも手出してんの?」

「は、えっと、何をおっしゃっているのか……」

なぜかご立腹の彼女。急に人の家に押しかけてこんな態度ってどうなの?話が全然見えてこないしっ!

「授久、いるんでしょ?ここに」

「へっ、さ、さずく?」

女の人は「とぼけないでよ!」なんて叫びながらうちへ上がろうとする。

「いや、えっと、本当に知らないですから!さずくさんって人、うちにはいません!うちは父母子の3人暮らしでっっ」

女の人の腕を必死に掴みながら、家に入られないようにする。

流石に突然やってきた人を理由もなく家にあげるなんて、そんなことできない。

「いいから早く授久連れて来なさいよ!」

「だからそんな人知りませ──────」

「ユリっっ!」

揉み合っていると、開いていた玄関から慌てた声が聞こえて、私たち2人は同時に動くのをやめた。
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