制服レモネード
私が頭の中で軽くパニックを起こしてるとも知らず、矢吹さんはすぐにマンションの階段を降りていく。

あれ……。

私はお出かけバージョンの矢吹さんの格好をみてとてつもなく動揺を隠しきれていないのに、矢吹さんは、私を見ても普段通り。

いや、普段よりも少しそっけない感じがする。

スカート、勇気出したんだけどな。

少しシュンとなりながら、矢吹さんに続いて階段を降りると、矢吹さんはそのまま地下の駐車場へと向かっていった。

あれ?駐車場?

慌ててその背中を追いかけると、ピピッと音がしたのと同時に、先に見えた一台の自動車のライトがピカッと光った。

えっと……これは?

「乗って」

矢吹さんはそれだけいうと、スタスタとその車に向かうとドアを開ける。

あっ、そうか!

てっきり、遊園地までは電車で行く気満々だった。これってもしかして、矢吹さんと2人っきりでドライブデートまで楽しめるということ?!

──バタン

「あ、わ、私てっきり電車で行くもんだとばっかり……矢吹さん、運転してくれるんですか?」

車に乗り込んでシートベルトを締めながら、隣で同じようにシートベルトに手をかけた矢吹さんにそう聞く。

仕事でただでさえ疲れてるのに、運転させるなんて申し訳ない。

「あー、そんなキラキラした目で見ないで」

「えっ?」

矢吹さんはチラッと私のことを見たけどすぐに目をそらしてハンドルに軽く身体を預けた。
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