【Amazonベストセラー入りしました】偽花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとハラハラしていたらイケメン王が溺愛してくるんですが?
 今までのドキドキとは全然違って、感じたことがないような不思議な甘い鼓動だ⋯⋯。
「長旅で疲れているようだ——」
 リオ・ナバ国王は、フウルの腕を優しく包み込むようにして支えてくれた。
 じっと見下ろしてくる瞳は不思議なガラス細工のような色⋯⋯。その瞳がピタリとフウルの顔にとどまって数秒も離れない。
 見つめられながら、たくさんの貴族たちが集まっている広間を横切り廊下へ。
 廊下には色鮮やかな美しいタペストリーが並んでいた。
 長い廊下を進んでいくと大きな部屋があって、天井には巨大なシャンデリアが眩しいほど輝いている。
 大きなテーブルにはたくさんの料理。大きなチキンの丸焼きから湯気が立ち、色とりどりの果物——葡萄やオレンジがとてもみずみずしい。
「あ、あの⋯⋯、わたくしは偽者なんです⋯⋯」
「話はわかった。だが、とりあえず、晩餐としよう」
「晩餐?」
 もしかして、処刑の前の最後の晩餐だろうか?
 処刑の前に豪華な食事をだす風習の国があることをどこかで聞いたことがあった。もしかしたらそうなのかもしれない。きっとこれは最後の晩餐なんだ⋯⋯。
「王女はチキンはお好きか? それとも長旅で疲れた体には、甘いケーキの方が?」
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