【Amazonベストセラー入りしました】偽花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとハラハラしていたらイケメン王が溺愛してくるんですが?
 執務室の壁ぞいの棚にはたくさんの本がぎっしり詰まっている。すべてリオ・ナバが自国を豊かにするために学んだ本だった。ラテン語で書かれた古い軍関係の本もあれば、東洋の文字で書かれた農業に関する本もあった。
 軍力に秀でた国に育て上げることができたのも、乾いた土地でカカオの木を育てることに成功したのも、すべてリオ・ナバの寝る間を惜しむ努力の賜物だ。
「それにしても王女は質素な服を着ていた、どんな事情があるのか⋯⋯」
 ナリスリア国から嫁いできたオメガ王女は花嫁とは思えないほど地味な格好をしていた。
 だけどその容姿は素晴らしく、柔らかい金色の巻毛は思わず触りたくなるほど艶やかに輝き、こぼれそうなほど大きな目の瞳は青。暖かい南の国の海の色のようなコバルトブルーだ。
「美しい色だった」
 オメガ王女の姿を思い出してリオ・ナバがまた口元に笑みを浮かべたとき、
「陛下——。失礼致します」
 と、黒髪の騎士が入ってきた。背が高く、鷹を思わせるような鋭い視線をしている。ハンサムな顔立ちのアルファ騎士団長、サントスだった。リオ・ナバの腹心だ。
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