Sweet Lovers
優弥は、私の持つ紙袋を指差すと、私の手からひょいと持って行った。

空いた手で、私の頭を軽く撫でた。

「可愛い格好してるのに、崩すと可哀想だしな。
それに、出かけるのが遅くなる」

その言葉に、ん?と首を傾げた。

「1日空けておいてくれ、とは言われたけど、出掛けるんだ?」

「行こうぜ。
紅茶が上手い、いいカフェを知ってる。
たまにはいいだろ。

琥珀も課題に缶詰めになるよりは息抜きになるし。
どこで作詞作曲のインスピレーションが湧くか分からないしな。

俺も卒業旅行に向けて、バイト入れて金を貯めなきゃいけないんだ。

会える頻度少なくなるから、たまにはこういうところでのデートもいいかな、ってな。

卒業旅行の後は皆バラバラになるから、ホワイトデーも会えるかは確約できないし。

俺も、琥珀とゆっくり過ごしたい」

紙袋を冷蔵庫に入れたあと、再び玄関で靴を履き終えた優弥。

「ん。
両手空いたほうがいいだろ」

私の肩に下げられたショルダーバッグをさり気なく持ってくれるところは、さすが女性の扱いに慣れている。

お花があしらわれた白いショートブーツを履き終えると、玄関を出て、指紋で施錠した。

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