Sweet Lovers
カフェの最寄り駅までの間、その手は握られたままだった。

「外であんま可愛いことするな。

一応、卒業まで手は出さないように我慢してんの。

麗眞みたいに、彼女をしょっちゅう家に連れ込んで抱くほどオバケじゃないけど。

琥珀の気持ちが前向きになったときにちゃんとしたい。

俺はそう思ってるから。

我慢するの、結構大変なの。

俺の努力を水の泡にされるの、ホント勘弁」

「久しぶりに会えたんだし、たまには、と思って。
相原さんが来るまで、2人でいたい。

渡したチョコレートも食べてほしいし」

「そうやって、いつも素直に伝えてくれると可愛いんだけどな。

琥珀のそういうところも好きだけど。

帰ったら食べる。

夕飯後のデザートは、琥珀にするかな、
なーんて」

今度は、私が顔を真っ赤にする番だった。

もう、優弥ったら……

今そんなこと言うなんて、反則もいいところだ。

私には縁がないと思っていた甘いバレンタインデー。

今年は優弥と過ごせて良かったな。

ハッピーバレンタイン。
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