Sweet Lovers
「お邪魔します!」

丁寧にダークブラウンのローファーを揃えて、相原さんにぺこりと頭を下げたのは椎菜だ。

「洗面所借りるね。
手を洗わなきゃだし。

場所だけ教えてもらっていいかな」

美冬は、玄関に並んだ深月や椎菜のローファーを少し整頓してから、私に声を掛けてきた。

深月は、相原さんの持つ袋や皆の袋を持って、冷蔵庫に入れるものがあれば手伝う、と申し出た。

皆、三者三様の育ちの良さが出ている。

相原さんは、客人なんだから高校生らしく、ゆっくりしていいのにと言っていた。

「材料は少し室温に置いておくものは置いておいたよ。

琥珀ちゃんはともかく、皆、手の混んだものを作るんだねぇ。

最近の若い人たちのエネルギーの有り余りっぷりは、私も見習わなきゃいけないね。

耳にタコかもしれないけどね。

琥珀ちゃんの親友たちには、皆幸せになってもらいたいんだよ。

私にできる事があれば言いなさいね」

「ありがとうございます、相原さん」

「家に来てすぐに作るのも忙しないから、少し一息つきなさいな。

外寒かったでしょ。

今温かい飲み物持っていくから、リビングにいるといいよ、深月ちゃん」

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