Sweet Lovers
材料は、深月が取ってきていた。

椎菜は、着る機会の少ない制服も汚したら困ると、相原さんにエプロンを借りていた。

相原さん、用意いいなぁ……


皆が手際よく作業を進める中、私は苦戦していた。

フォンダンショコラやブラウニー、チョコサンドクッキーが完成に向かっていくのが羨ましかった。

今は生クリームの湯煎で2度失敗し、3度目の正直で再びチャレンジしたのだった。

生クリームに生チョコを溶かすまでは良かった。

しかし、ボウルの中身を水に変えて混ぜる時間を長くしすぎたようだ。

箱に流し込むときには平らにならず、何だかデコボコになってしまった。

「こんなんでいいのかな……
とっても不安……」

1時間以上は冷やしたのだが、冷やす時間ももっとあったほうが良かったようだ。

切り分けた際、断面がデコボコで、と綺麗な正方形にはとてもならなかった。

そのおかげが、キットに同梱されていた箱には生チョコ1つ分の隙間が出来てしまった。

さすがに、もう作り直す気力はない。

「うぅ……
私、やっぱりこういうの向いてないのかな……」

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