【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
やっぱり私は病死して、小説の世界に転生してしまったのね。寝落ちて目覚めてもこの世界で目覚める。転生した事実を受け入れなければと思いつつ、私はよほど子供たちへの未練が捨てきれないでいるらしい。それもそうだ……ずっと一緒にいた。どんな時も一緒で……一人で頑張る私を励ましてくれる時もあったし、喧嘩したり叱ったりする時もあったけど、子供たちの笑顔や言葉で全て吹っ飛ぶ。
子供は宝、まさにそんな生活だった。
宝物を失った私には、もはや何もない。これからどうやって生きていこうかな…………そんな事をぼんやり考えて窓の外を見ていた。
この世界は一見平和だが、国としては廃れ始めているって書いてあったような……政治の腐敗が進み、私腹を肥やす貴族が増え、財政はどんどん逼迫していく。弱った国は他国からつけ入れられやすい。
どこの世界も上が阿呆だと大変ね、と苦笑いが漏れる。
案の定戦争を吹っ掛けられそうなところを聖女が現れて国を守ってくれたから、誰も血を流さずに済んだっていうお話なのよね。それくらい聖女の力は近隣諸国にとっても影響は絶大で、聖女が現れた国は繁栄するとも信じられている。
まぁそんな聖女に勝てるわけはないし、早めに隠居して好きなように生きた方が処刑もされなくて済むわよね。
お父様はそんな事ないだろうけど、貴族の腐敗か…………小説では、公爵領でも貧しくて物乞いしている子供たちが出てきたわ。物乞いしている子供を想像しただけで胸が痛んじゃう――――