【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
そう言って男は私の首に回した腕に力を込めたまま後ずさる。引きずられる状態になって息が苦しい…………
「…………っ」声が出せない………………誰か…………
「オリビア様!」
ゼフの声が遠くに聞こえる……その瞬間、男の動きが止まった。
「オリビア様?そう言ったのか?」
男は不思議な事に私の名前を聞いて、少し動揺しているように感じた……でも私は息苦しさでそんな事はどうでも良くなっていて………………もう、ダメ…………意識が遠ざかりそうになった瞬間、背後から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「そこまでだ。首を切り落とされたくなければ、オリビアから腕を離せ」
…………まさか…………この声………………
一瞬で意識が呼び戻された私は、何とか頑張って頭を後ろに向けて見ると、男の首筋にピタリと剣を当てているヴィルヘルム王太子殿下がいた――――――