【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
「あなた方に簡単に信用してもらおうなんて、思っていません。でもここは私の故郷だから…………諦める事は出来ないの」
「………………あんたは一体……」
男が驚き目を丸くしたので、私がここの領主であるクラレンス公爵の娘である事をこっそり耳打ちして教えた。すると、更に目を丸くし白黒し始めると、私に恭しく頭を下げ出した。
「…………私はオルビスと申します。ご無礼を働き、申し訳ございません。お待ちしておりました…………まさかとは思いましたが閣下の………………」
オルビスというこの男性は私の顔に懐かしい面影を重ね、目を細めて少し笑っている。私はこの男性の言葉に固まってしまった……私を待っていたって一体どういう事?すると周りの人々がざわざわし始める。
「まさか…………クラレンス公爵の娘か?」
皆、お父様の名前を出しながら、私や殿下、ゼフを取り囲み始めた…………何、何事?それに今ここで身分がバレてしまって大丈夫なの?色々とまずい展開になったのでは――――
公爵家を敵視している人はいなさそうだけど、これからどんな話があるのか、ひとまずオルビスの話に耳を傾ける事にしたのだった。