【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
そう言う私の顔をじっと殿下が見つめている。言いたい事はよく分かるわよ、私がそんな殊勝な事を言うなんて信じられないんでしょうね。でもオリビアは王太子妃に相応しくありたいと思っていただけで、心根はとても優しい子だったのよ…………殿下が見てなかっただけで。
だから私は今の自分の行動や言葉は、オリビアからかけ離れたものではないと思っている。
「何が安心した、よ。私たちの生活をよく知りもしないで……お貴族様は本当に気楽でいいご身分だこと!」
そんな言葉が私の後ろの方から聞こえてきた。振り返るとライムグリーンの長い髪をポニーテールにしている若い女性が、腕を組んで仁王立ちしていた。服は汚れ露出が多く、この中ではとても個性的ね。
「テレサ!口のきき方に気をつけなさい」
オルビスが窘めるように言ってくれたけど、テレサという女性は顔をそむけて知らん振りといった感じ………………それにしても私はあまりテレサの事を気にしていなかったのだけど、隣から殺気を感じるのは気のせい…………ではなさそう……
「…………そこの女、オリビアの言った言葉の真意も分からんのか?」