【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
オルビスは俯いてしまった。ここまで騒がれたら、公爵家もオルビスに何らかの処分を下さなくてはならなかったでしょうね。聖職者というのはそれくらい地位が高いというのは小説で読んだわ。
「人身売買はかなり根が深い問題だ…………我が国では先代の国王が法を整備し、ようやく禁止に出来たがまだまだ徹底されていないのは分かっていた。私はどこが温床になっているのか、ずっと調べていたのだ…………やはり教会が一枚噛んでいるのかもしれない」
ヴィルがそんな事をずっと調べていたなんて…………教会の力は強大だから、ちょっとやそっとじゃ裏を取る事は難しいのね。
「きっと私がいなくなった事で、公爵家として処分した事になったのだと思います。旦那様が上手く事を済ませてくれたのだと。ロバート様のここでの立場も悪くしてしまって……もう公爵家には戻れませんし、かと言って行く当てもない…………領地を出ようと決意して外れまで歩いてきたら…………」
「ここの人たちの存在を思い出したのね」
「そうです。あの司祭が来て、虐げられている人や貧しい人が急速に増えたんだなと理解しました。その人たちを放って出て行く事は私には出来なくて…………幸いここにはヤコブ司祭のような人は来ませんし。貴族の方も近寄らないだろうと身を寄せ……せめてここにいる人たちが何とか暮らしていけるようにと。ここは子供たちの守る為のシェルターでもあるんですよ。何かあれば私たちで守れるように」