【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~
 
 
 こんな状況にも殿下はあまり喜んでいる顔を見せない。何となくバツが悪そうな…………とにかくこれ以上ここにいても迷惑がかかるだけね、さっさと切り上げましょう。

 
 「じゃ、じゃあオルビス、また連絡します。ロバートにも伝えておくわね!この件が解決するまで、私なりに支援させてもらうわ…………あまり目立ってもいけないから、大がかりには出来ないけど。」

 「お嬢様…………ありがとうございます!」

 
 オルビスは涙目でお礼を言ってくる。彼がそれだけここの人たちに思い入れが深い事が伝わってくる…………テレサもそんなオルビスの姿を眩しそうに見ていた。

 
 「支援はいいが、我々がここに来た事や支援する事は、しばらく司祭側に悟られないように気をつけてくれ。その方が尻尾を掴みやすい。我々が君たちの元に来ている事など夢にも思っていないだろうしな……」

 
 悪い顔をしているわ…………ここは公爵領であると共にハミルトン王国のものなのだから、自国で民を苦しめる事を好きにやられたのでは王太子殿下としても腹立たしいはずよね。
 
 この件を聞いてすぐに教会に殴り込みに行かなかったのは、ちょっと意外かも。殿下は私が思うほど直情的な人物ではない、という事かしら?そんな事を考えながら、この建物をあとにした。

 
 
< 134 / 512 >

この作品をシェア

pagetop